無機フッ素化合物と有機フッ素化合物
今回はフッ素について。フッ素という言葉をお聞きになったことはあるのではないでしょうか?
CMなどで耳にすることがあると思います。そのフッ素とはどのようなものなのか、ご存じでしょうか。
フッ素とは、自然界に広く存在する物質で、原子番号9の元素です。
近頃のニュースや新聞、SNS等で有機フッ素による水質汚染、身体に有害であるなどといった情報を見聞きされたのではないでしょうか。
有機フッ素化合物と無機フッ素化合物があり、誤解されやすいフッ素の違いについてお話したいと思います。
人体や環境に対して有害と指摘されているフッ素は、有機フッ素化合物(PFAS)といい、フッ素と炭素が結合した化合物の総称で、一万種以上の物質があり、人工的に作られたもので、熱に強く、水や油をはじく、燃えにくい、汚れを防止する等の特徴を持ち、私たちの身近なものでは、焦げ付きにくいフライパンのコーティング剤、自動車のコーティング剤、消火器に含まれる消火剤などに使用されています。
歯科で使用されているフッ素は、無機フッ素化合物といい、おもにフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズなどで、フッ素とカルシウムなどが結合した化合物で、水に溶けたときにマイナスイオンになり、多く自然界に存在します。土壌にも含まれ、海水、お茶、海産物、肉、野菜、果物などに含まれています。
これらの無機フッ素化合物は、歯磨き粉や洗口剤にも添加されており、歯の表面に塗布することで、歯のエナメル質(ハイドロキシアパタイト)が酸によって溶け出すことを防いだり、また溶け出してしまったエナメル質を再石灰化(再結晶化)により、エナメル質中のカルシウムやリンよりも強固なフルオロアパタイトを形成し、むし歯菌の代謝活動やむし歯菌の酸生産能力を抑制するなど、歯科医院で行うプロフェッショナルケアや自宅で行うホームケアで広く利用されています。水道水へのフッ素添加もむし歯予防の効果的な手段として、世界の約30か国で実施されています。
適量摂取では、むし歯予防や骨折、骨粗しょう症の予防に役立つ無機フッ素化合物ですが、大量に摂取すると、急性中毒(悪心・嘔吐など)、慢性中毒(骨フッ素症・歯のフッ素症)が発生することがありますが、用法や用量を守って使用している限り特に危険はありません。
このように水質汚染などの有機フッ素化合物と、むし歯予防のための無機フッ素化合物はまったく異なる物質です。この二つを混同したり、SNSなどの間違った情報に惑わされないようにしましょう。
当院では、年齢やその方のリスクに合わせて、適正なフッ素の使用や指導を行っています。
特に小さなお子様のフッ素量は 体重に応じた適正量をお知らせしております。
お気軽にスタッフにお声掛けください。