美味しいと歯ごたえと

美味しいと歯ごたえ

食べたい、食べようという欲は生命維持をするうえで最も大切な生理です。

このことは、人間は特にそうなのですが、単にエネルギーの摂取だけにとどまらず、美味しというキーワードが関係しています。

「美味しい」というのは人それぞれで、同じかたでも、その時々、あるいは若いころは好きだったけど歳をとるとそうでもなくなったということもあるので、好みも含めて「美味しい」を定義づけるのは難しいようです。

食べ物の美味しさを味わうとき、味を区別するのは、味覚という感覚ですが、歯ざわりというのも大切なものです。

歯ざわりや歯ごたえという感覚は、歯の感覚とそしゃく筋(かむ多面尾筋肉)の感覚から成り立っていると考えられています。

まずこの場合の歯の感覚とは、むし歯になった時に痛くなる感覚とはまた別のものです。

そして、歯の感覚は歯の表面のエナメル質で感じるのではなく、歯の根の周りをおおっている歯根膜という膜が感じる圧力のセンサーで感じるのです。

 また、咀嚼(そしゃく)筋の感覚とは、顎を動かす筋肉の中にあるセンサー(筋紡錘)が感じる感覚のことです。筋肉の感覚は大変敏感です。

咀しゃく筋にかかるチカラは、筋肉のセンサーで総合的に判断されてわかると考えられています。

最近見た記事の中で、一般的に歯ごたえのあるシコシコした「さぬきうどん」を美味しいと感じる人は多いといいます。

美味しさは味だけではなく、歯ごたえも関係していることが考えられます。

では、全部の歯がなくなった総入れ歯の人の場合はどうなるのでしょう。

この場合は、入れ歯を支える歯茎のセンサーが歯根膜のセンサーの代わりをすると考えられているようですが、歯根膜のセンサーと比べると、その感覚は相当悪くなるようです。

私たちも患者様から、入れ歯は食べても味気ない、美味しくないとよくお聞きします。反対に、健康な歯を維持出来ている方からは、硬いものが好き、食感が好き、美味しく食べているとお聞きします。

一生美味しく食事を楽しむためにも、歯はとても大事なものですね。

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