歯の本数と寿命
今回は歯の本数と寿命についてお話したいと思います。
皆さんは8020運動(はち・まる・に・まる)という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?
8020運動は、平成元年より当時の厚生省と日本歯科医師会が推進している『80歳になっても20本以上の自分の歯を保とう』という運動です。20本以上の歯があれば、食生活にほぼ満足することが出来るといわれています。
そのため「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いを込めてこの運動が始まりました。
近年「8020」を達成している高齢者の方は増加しています。しかし、高齢者数が増えているので「8020」を達成していない高齢者は依然として多い状況です。
では、現在日本では80歳でどのくらい自分の歯が残っているのでしょうか?
先ずはご自身の歯が何本あるのか、お口の中を確認してみましょう。
歯は全部で32本あります。上の左右と下の左右の親知らずを除くと大人の歯は28本あります。
【一人平均現在歯数】
40-44歳 ⇒28.0本
45-49歳 ⇒27.6本
50-54歳 ⇒26.4本
55-59歳 ⇒25.3本
60-64歳 ⇒23.9本
65-69歳 ⇒21.6本
70-74歳 ⇒19.7本
75-79歳 ⇒18.0本
80-84歳 ⇒15.3本
85歳以上 ⇒10.7本
※H28年 歯科疾患実体調査より参照
ご自分と比べてみていかがでしょうか?
40歳を過ぎると歯を失う本数は徐々に増え始めていきます。2019年の日本人の平均寿命は、女性が87.45歳、男性が81.41歳です。1989年と比べて女性は5.68歳、男性は5.5歳も延びています。
歯の寿命は約50~65年。その中でも奥歯の寿命が最も短く、前歯よりも10年以上も早く抜けてしまいます。
『人生100年時代』と言われている現代において、歯の本数が長寿に追いついていない現状となっています。
【美味しく食べるために必要な歯の本数】
18本から28本で、たくあん・フランスパン・堅焼きせんべい・スルメイカ・酢だこ・
6本から17本で、きんぴらごぼう・かまぼこ・おこわ・豚肉(薄切り)・せんべい・レンコン・
0本から5本で、うどん・バナナ・ナスの煮つけ
歯を失う原因として、むし歯や歯周病で占める割合は74%、事故(外傷)・矯正による便宜抜歯などのその他の要因は26%でした。
歯周病は痛みや出血を引き起こし、歯を支えている骨が溶けて最終的には歯が抜けてしまうことがある病気です。また、歯ぎしりや食いしばり、かみ合わせの悪さなど、噛み合わせた際の衝撃やストレス、悪い生活習慣などによっても、身体の抵抗力が下がり歯周病を悪化させる要因にもなっているようです。
寿命が延び『人生100年時代』といわれる今、歯もしっかりとしたケアをすれば、一生使える大切な体の組織の一部です。歯を失わないためにも、身体に良い栄養をお口から摂るためにも、歯科医院での定期的な検診とクリーニングを受けましょう。