一本の歯を失うということは
歯には大きく分けて
咀嚼(そしゃく・噛むこと)
嚥下(えんげ・飲み込むこと)
発音
審美
この4つの役割があります。
永久歯は一番奥の親知らずを除いて、上に14本、下に14本づつの歯があり、上の歯と下の歯がうまく噛み合うことでその機能を果たしています。
むし歯や歯周病、外傷などによって自分の歯を一本でも失ってしまった場合「気にならない」と放っておくのはとても危険な事です。本来歯があった場所の歯が無くなってしまうと、後々身体に影響を与えるからです。
歯は、空いたスペースに動くという性質を持っているので、空いたスペースに向かって倒れ始め、お口の中全体のバランスが崩れ始めてしまいます。
無くなった歯の両隣の歯が倒れてきたり、上下で噛みあっていた歯が伸びてきたりするようになり、かみ合わせのバランスに狂いが生じて、失った歯の反対側で物を噛むくせが無意識のうちについてくるために、顎関節にも大きな影響を与えます。それが長期間続くと身体の歪みが生じる原因となることもあります。さらに、歯が根元から無くなると、抜けた歯のまわりの骨も徐々にやせ細ります。そのため残っている健康な歯が移動してしまい、やがてうまく噛み合わせられなくなる恐れもあります。
噛み合わせのバランスが崩れると、食べ物をキチンと咀嚼(噛むこと)ができず、唾液の分泌も不足するので、消化しにくい状態で食べ物が胃腸に送られることになり、胃や腸への負担がかかります。それだけではなく、唾液にはお口の中をきれいにする自浄作用があるのですが、唾液の不足により歯垢の分解がうまく進まずに歯周病のリスクが高まってしまいます。また、顎の関節を動かして噛むという行動は、脳にも刺激を与えるので、歯が悪くなって食事の時にあまり噛まなくなると脳への刺激が減少するので痴呆症になったり、それが進行したりする恐れもあります。よく噛むということは、脳の機能維持にもとても大切なポイントになるのです。
歯は、しゃべるためにも大事です。歯が無くなると正しい発音がしづらくなったり、ろれつが回りにくくなったり、会話において困ることが非常に多くなります。
審美面では、奥歯を失うと頬のラインや顎のラインが内側によったり、歯を失ってから時間がたつと歯ぐきが下がってくるので頬がこけてみえたり、顎がたるんで見えたりします。前歯の場合は、口元にしわがよりやすくなったりします。このように見た目の面でもデメリットが生じます。
歯を失ってから時間がたつほど、そのあとの対処が難しくなっていきます。もし歯を失ったときには放って置かずに、歯を補う治療法がありますので早めにご相談ください。
歯を失わない為にも日頃から歯のケアをおこないましょう。定期的な歯の検診も取り入れましょう。